Google 英語サバイバル術

まず、最初に。

Google で仕事をするのに英語はできればできるほどいい。会社組織において意思疎通はとても重要で、それが不自由だということはそもそも従業員としてどうなの?という話だからだ。

とはいえ、母国語以外の言語習得には個人差がある。そこを努力次第でどうでもなると誤魔化すつもりはないし、英語ができないのは云々とかマウンティングするつもりもない。

私自身でも英語で苦しんだ。Google で12年以上務めた今でも、英語でのコミュニケーションは日本語ほどうまくできない。そんな私でも英語で生き抜くために役立つと思えることはある。どれだけ役に立つかわからないが、とにかく思いつく限りの英語サバイバル術を書いておこうと思う。

“Please speak slowly.” は何の解決にもならない。

よく考えてほしい。日本語でゆっくり「わーたーしーがーしーりーたーいーのーはー」とか話されてわかりやすくなろうだろうか?むしろ聞き取りにくい。そして何となく質問されている人がバカにみえる。英語でも同じだろう。ゆっくり話してもらうことは理解の助けにならないし、むしろ子供扱いしてくれと言っているようなものだ。母国語でなければ聞き取れないのは当然。卑屈になる必要はない。さらに卑屈になったうえで聞き取りにくくなっているのでは、恥を忍んでまで一体何をしたいのか全くわからない。

わからないものはわからないと言おう。

日本語だってわからないものはわからない。日本の学会での質疑応答を思い浮かべてほしい。誰だって、自分の知識不足、あるいは相手の説明が下手なせいで、何を言っているかよくわからないことはあるはずだ。日本語であれば自分の言語能力を疑うことはなく「すいません、よくわからなかったのですが」とかなんとか言えるはずだ。相手が英語で喋っているからと言って突然知識のギャップが埋まるわけでも、相手の説明が上手になるわけではない。わからないものはわからない。”I don’t understand it.” と言えばいい。

相手を自分のペースに巻き込もう。

とはいえ「わかりません」と言っただけでは、話が先に進まないことも多い。そういう場合は「こういうことを言いたかったのかな?」と逆に質問すればいい。典型的な聞き方は “Did you mean …..?” とか “In other words, ….?” … の部分は自分の解釈でこんなこと言っていたんじゃないかなぁということをねじ込めばいい。こちらの質問に答える形に持ち込んで対話の主導権を握れば、英語でのミーティングもずっと楽になる。

正しさよりノリを大事にしよう。

私自身もそうだったのだが、日本人は「正しい」英語を話すことに気を遣いすぎる気がする。だが、よく考えてほしい。我々が日本語を話すとき、どれだけ「正しい」日本語を話しているだろうか。また、どれだけ我々が「正しさ」に注意を払っているだろうか。話したままを録音し書き起こしたものを見てみればわかるが、我々が普段話している日本語は書き言葉と違い、ひっちゃかめっちゃかである。言い淀み・言い直しは当たり前。文法的におかしい文なんてはざらで、よくよく考えると意味をなさないこともよく言っている。英語でも事情は変わらない。ネイティブの話す言葉をよくよく聞いてみれば、言い淀み、言い直し、はたまた、よく考えると意味のわからないことをよく言っている。

しかし、それでも日本語なら日本語、英語なら英語、のリズムというべきものがある。そのリズムを外れると聞いている方がずっこけるというか、混乱する。そして一度混乱すると、何を話しているのかがよく分からなくなる。

私自身も、英語を話し始めてから「あー、これはなんかうまく続けられないな」とか「やべぇ、さっき not 言うの忘れた」とかいうことが良くある。そんなときは諦めて最初を言い直す。ただ言い直すと混乱しそうなときは “eh…..” とか適当な間を挟んで、さっきのはなかったことにして言い直す、あるいは、”you know?” とか言って、「なんかうまく言えないけど、わかるだろう?」的な目くらまし戦術にはしる。

こういったテクニックは小手先でもちろん褒められたものではない。それでも、英語のリズムに乗ったまま続けることで「あなたとコミュニケーションを続けたいんですよ」という意志は伝わる。そしてそういう意志は相手に理解しようという意欲をわかせる。理解しようという意欲がない相手には流暢な英語で話してもモノゴトは伝わらない。まずは理解しようと思わせることはとても大事だ。

なによりも信頼関係を構築しよう

流暢に話せない以上、見知らぬ人といきなりスムーズにコミュニケーションを取ることは難しい。だとしたら、せめて仕事上コミュニケーションが必要な人とだけでも円滑に話せる関係を構築することに努めよう。

人間というのは不思議なもので、一度信頼関係ができあがると、とたんにコミュニケーションがスムーズになる。そもそも大抵のコミュニケーションにおいて真偽が厳しく問われるようなことは数少ない。むしろ誤解が生じた時に、どれだけ迅速に関係性を壊すことなく、リカバリーできるかが重要となる。そんなとき重要となるのがお互いの信頼関係である。

Karaoke に一緒に行くでもいいし、他愛もない茶飲み話をするのでもいい。観光をするときの相談にのるのだって構いないし、酒を飲みながら上司の悪口を言うのでも構わない。「あぁこいつと話すのは楽しいな」というふうにお互い思えれば、それだけでコミュニケーションは格段に楽になる。

英語は難しいと覚悟しよう

なので、まずはコミュニケーションすることを目標にしよう。もちろん、きちんとした英語を話して円滑にコミュニケーションを取れれば格好いい。しかし、それは難しいことだし、あなたの幸せにとって必ずしも必要ないことかもしれない。でも、より多くの人とコミュニケーションを取れることは、それだけで楽しいことだ。不思議なことに「通じあっている」という感覚は言葉とは別の次元で成立するものだし、一度成立してしまえば、たとえそれが幻想であっても実際に力を発揮する。(そもそも言葉というものが共同幻想でしかないのかもしれないが)あまりアタマで考えず、相手の目を見て、伝わっているかを感じ取る。それができるようになれば、英語も通じるようになると思う。

とりあえず TOEIC L&R 900点 を目指そう

とはいえ、英語を勉強しなくても度胸さえあればなんとかなる、などと言うつもりはない。当たり前の話だが、最低限の文法や語法、単語の知識がなければ話すことなどおぼつかない。どんな手でもいいから TOEIC listnening & reading 900点ぐらいはなんとしてでも到達してほしい。個人的な経験で言えば、日本企業でよく言われる 760 点では足りない。900点とれれば十分、ということではないが、なんとかなる人は 900 点ぐらいとれるはず。(十分条件ではなく必要条件)

勉強の仕方はどうでもいい。とにかく自分に合う効果のある方法を取ればいい。ベストの勉強を探して時間を浪費するよりは片っ端から気になった方法を全部試せばいいと思います。

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