大学で身についたこと・社会に出て役に立ったこと

本記事の内容は東京大学の大学案内(2018年版)に卒業生からのメッセージとして寄稿したものです。

 

子供の頃、父に「世界で一番偉いのは誰?」と聞いたことがある。しばらくしてから「科学者」という答えが返ってきた。それが科学者を目指すきっかけの一つであったのは間違いない。

高校卒業後、東京大学理科一類に入学し物理学科に進学、大学院も物理系の研究室に進んだ。夢へ向けて前進していた矢先、事件が起きた。

どうしてそうなったのかはわからないし、いまさら詮索しようとも思わない。とにかく研究室に居づらくなってしまったのだ。散々悩んだが、ともかく就職することにした。ようは逃げ出したのである。

幸いにして、大きな企業の「基礎研究所」と名のつくところに就職できた。ただし分野は情報系。周りも情報系の卒業生ばかり。ともかく教科書で勉強しつつ論文を読む日々が始まった。

意外なことに、大学での経験が非常に役に立った。

大学時代、専攻の図書館に通ってロクに分かりもしない論文と格闘した。なにやら勉学意欲にあふれた学生に聞こえるかもしれないが、そういうイメージに自分で酔っていただけという気がする。実際そのころ勉強したことは何も覚えていない。しかし、自分は何が分かっていないのか、新しいことを学ぶにはどこから始めるべきか、優れた研究とはどういうものか、といったことに鼻が利くようになっていた。こういった嗅覚は分野に関係なく通用する。

月日は流れ、なんとか人並みに研究業務をこなせるようにができるようになってきたところで、ソフトウェアエンジニアとして転職することにした。

周囲には驚かれた。その当時私には実践的な開発の経験がなかった。不安がなかったと言えば嘘になる。実際、最初の会議に参加して、英語での議論をほとんど何も理解できなかったときはクビを覚悟した。それでも何とかなるだろうと思っていた。自信があった。大学時代に使った嗅覚と、まったく違う分野で生きてこれたという経験、この二つが今でも私を支えている。

世の中何が起こるかわからないからこそ楽しいのです。皆さんも大学時代に大いに学んで、悔いのない人生を送れますように。

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